間奏
とある国での小さな会社が世界最初のヒューマノイドガーディアン、通称「VAL−be (ヴァル・ビィ)」を開発した。 非常に高性能な人工知能と人工筋肉を兼ね備え、頭脳は賢者のごとく、動く姿は黒豹のごとしと喩えられたほどだ。 それは神の生み出した新人類とまで言われ、
ウェイメはよくテラスで新聞を片手にお茶を飲んでいた。 「またVAL−beの事故か」 優しそうな瞳を更に細めて新聞から目を離す。そのかわりにいつもと同じように外のバラを眺めていた「宿禰(すくね)」に見つめる。 「そのようですね」 ウェイメの歳はまだ四十ばかりであったが、それよりもぐんと年老いて見える人物だった。 その身分についての情報はインプットされていなかったし、あまり屋敷の外に出る機会もなかったために知りはしなかったが 時々客人が来る時などは眉間を寄せ、険しい表情を見せ、話をしていたりする。 そして最近は切に思うのである。 「ウェイメ様、本当に私を回収に出さなくてもよろしいのですか?」 「うん?」 「いつ暴走するかわからないのですよ?」 VAL−beは、一時期大量生産されたが、その直後から製造販売の中止、と同時に回収して処理するという決断が出された。 その精密さ故に「バグ」が多すぎたのである。 高レヴェル会話機能の暴走、自律プログラムの欠陥、エネルギー調節の不具合、 そして爆発事故が、こういう言い回しにはいささか抵抗があるが「ポピュラーな欠陥」だった。 (もっともVAL−be一体の爆発威力はそれほどでないにしろ、 VAL−beを開発した会社が自主回収を行い、ねこそぎ破壊しているという。 けれどそれを良しとしないユーザーの中のごく限られた一部はこっそりとVAL−beを手元に残しているそうだ。 会社にユーザー登録がしてあるので向こうで調べられれば一発で回収にまわしていないことは明らかになるが (無論、その場合に限り、事故への賠償金などは一切出ない) それまでしてこのVAL−beを愛してやまない人間が多くいるのだった。 その中の一人がウェイメである。 「私の存在意義はウェイメ様をお守りする事にあります。その私が貴方様を傷つける事になってしまったら・・・・・・・」 急に激しいノイズが襲い、体中が熱を持ちはじめる。まるでボディに電撃を与えられたような感覚に戸惑い、 そんな宿禰を見、思わず立ち上がって片方の手をそ肩の上に手を置く 「ウェイメ様」 「大丈夫だよ」 たったその一言。 そのやわらかく、だのに芯の通った声のささやきひとつでしかなかった。 なのに体の放熱装置など壊れてしまったように熱がこもり、機体が溶けてしまうかと思った。 それなのに今まで抱いていた不安は、機体よりも先に昇華されてしまったようだ。
にっこりと悪戯っぽく笑う。 「・・・・・・・・・」 それがなんともおかしく、そして 「そうですね。では私はそうならないよう、お庭のお手入れをしてまいります」 なるべく彼の目を見ないように踵を返しテラスを出た。
そして 「道具」として利用し、ある意味での愛を持つパターン。 体が正常に戻った。 ただし、「胸の中心に大きな損傷がある」という誤情報が出ていたので、それを一つ一つ丁寧に処理した。 「こころ」が彼女に生まれていた。 それこそがバグ。 彼女自身、今ウェイメに対して抱いている感情がどういうものなのかは理解していた。 自分自身がどうすればいいのか。それは誰も教えてはくれない。
「テンさん。どうしました?」 馬の手入れをしていた御者のハドムは思いもしない来客に思わず手を止めた。 「つくねさんはご一緒ではないんで?」 「うーん。まぁね」 ハドムは腰を一度思いきりのけぞらせ、重くなった肩をもみ、自分の歳を感じながら 「よくあの人がテンさんを一人で出かけるのを許しましたね」 と尋ねた。それに対しテンはどこか心配するような怪訝するような表情で言う。 いつもだったらあんなにシステムのスキャンに時間はかからない。 「で、テンさんはこれからどこへ?」 「うん、ちょっと買い物にね」 「そうですか。じゃああっしがお供いたしましょ」 「本当?いや、悪いね」 影でにやりと笑った事は言うまでもない。 「ウェイメ様、お話とはなんでしょう」 深紅の絨毯が目に付くウェイメの部屋に呼び出される。 「宿禰・・・・・・・・・」 そう力なく呟くと宿禰の元へと近付き強く抱きしめた 「いかがなさったのですか?ウェイ・・・・・・・」 「どうして謝られるのです。私は」 「パスワード『******』 パワーオフ」 ぷっつりと電源が切られた。 |
あぁ、もう無理。もう無理。何だこれ。
なんなんだこれ。
なんか恐ろしくベタベタな設定でございますね(誰
心を持った機械人形だって!主人を愛す機械人形だって!
アホくさっっ
と我ながら思ってます。ちゃんちゃらおかしいな、オイ。
(なら書くな)
なんかもう書いてるあたりで吐こうかと思いましたね。
というか、あの二人のエセラブラブっぷりが気にくわねぇ。なんだありゃ(自虐的
書きたくないけど書かなくちゃならないシーンなもんで。
極力爽やかにしようと努力はしたんですけどもねぃ。
ま、もうウェイメ出て来ないからいいけどっ (暴露