おしろい塗ってべにさして。きれいなべべ着て髪結って。
こんなきれいなかっこは、したことない。

いままで一度も見たことない。

昔に嫁いだ姉様も、これほどまでのきんきらきんは、着とらんかった。

 髪飾りはぴかぴか、真っ赤なべべはつやつや。

お香を炊いていいかおり。

うれしくってうれしくて、
ついついばたあし、うかれあし。


それでも母さま悲しそう。

髪を結ってる間中、ぽろぽろ涙こぼしてる。



泣く必要なんてないんだよ。
わたしはとってもうれしいの


だってこんなきれいなかっこ、したことないから

うれしいの。とってもうれしいの。


「神様」のところに行くのだってへいちゃらだもん。

どんだけ怖い人だってだいじょうぶ。
だから母さま、もう泣かないで。


「甘美に飾り立てて」・終


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小説じゃないことは認めるよ。うん。