第一話「愛する人をよみがえらせて欲しい」
その中でも特に動の部位が顕著に表れている繁華街。 顔を赤らめている中年の男や、あからさまに不機嫌そうな若者 そんな中を周りよりも一つ、ないしは二つ分くらい小さい子供と衣装を黒で統一した細身の女が歩いていた。 随分と周囲から浮いている二人だったが、 非常に奇妙で大変に歪な。
「申し訳ございません。残念ながらデータにこの近辺の飲食店情報はありません」 一本調子で要点だけを伝える様に苦笑しながら 「仕方ないよ、それはつくねの専門外だもの」 「「お嬢さんはまったく悪くはありません。おなかが空く『テン』が限りなく世界で一番悪いのです」」 「仕方ないだろう。私は人間なんだ」 理不尽な理由で『テン』を責める声は、黒い衣装の『つくね』の声ではなさそうだった。 「とりあえずどこか値段が手ごろなお店に入ろう。情報も聞きたいしね」 「「・・・・・・・・・・とは言っても、この辺りには酒場しかないのではないのですかな?」」 「酒場って結構情報が手に入りやすいと聞いた事があるんだけど」 「「この国の法律じゃお酒が飲めるのは18歳からでしょう」」 「飲まなきゃいいんでしょ」 鳴る腹を抱え、足早に人並みに飲み込まれて行った。 恐らく店を選ぶ上で重要な三要素だろう。 この近辺で飲食をするとするのならば、重要だと思われるのが値段でも品質でもなく おしゃれな街の中にあるレストランを探しているのならどこも大した差はないし、 その場合は値段と品質を優先するべきだと思う。 しかし、ここは繁華街。 そんな平和な空間とは別世界という心構えを持っているべきだ。 『類は友を呼ぶ』と言うように、その店によって大体は同じような人間が集まってくるものだ。 それを余所者は見極める事が重要なのである。 その街を治めるつもりならばその場所に乗り込んで全員ぶちのめし、 (もっとも、食べ物の匂いをかいでいたのかもしれないが)
一つのグループがテン達と入れ違いで出ていったので、客はカウンターに一人を残すだけだった。
一度にんまりと微笑んで、黙々と食事を続けた。 テンの隣につくねは座るが、何を注文するでもなく出された水さえも手に付けないで鎮座していた。 「「テン、ソースがこぼれましたよ。・・・・・・なめちゃだめですってば。汚いでしょう。 といさめているのだ。 「しかし、不思議だなあ」 オムライスを半分くらい食べ終わった時にマスターが口を出してきた。 「君達は一体こんなところに何をしに来たんだい」 相変わらずがっつくテン、つくねも黙っている。 見かねた声が「「ほら、呼ばれてるんですよ」」と呼びかけた。 「え、あい。えと、『テン』と申します。こっちはつくね」 「「答えになってない・・・・・・・」」という嘆きに被るようにつくねがゆっくりと会釈する。 本当に透明人間が近くにいるのではないか、という薄ら寒い妄想を冷や汗と共に流して。 「ん? あ、いや。しらないな。なんなんだい、それは」 「そのまんまの意味、だそうです」 その石を手に入れる事が出来れば、一つだけ願いを叶えてくれる、という御伽噺のような事実。 テンはポケットをあさると、胡桃をふた周りほど大きくしたサイズの石を取り出した。 黒く鈍く光り、表面はつややかだが、どこにでも転がっていそうな、ありふれた石だ。 「ええ。 私が継承したんです」 そういった瞬間、ガラスが割れる音に空気が割れた。 「君は・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれを、持っているんだな? 」 「・・・・・・・・・あれ、とは?」 その狂気色に血走った眼に警戒するようにテンは石をさっとポケットに戻す。 今まで沈黙を守り続けていた(というよりも電源が切られていたような)つくねも立ち上がり、 「ご用件はなんなのでしょうか?テン様は現在お食事中でいらっしゃいます。 落ち着いた声色だったがキリキリという緊迫感を押し付けてくるものだった。 と言うと、声が尋ねた。 「「ではどのくらいに設定されているのですか?」」 「6」 閑話休題。 「あれとは何を指して仰っているのですか?」 「決まってんだろ!あの石だ! あ の ペ テ ン の 石 だ ! 」 「つくね!退け!」 「はい」 命令に従うようにテンの後ろにさがった。
再びポケットに手を入れ、石を取り出そうとする。 「「私は覚えていますよ。『愛する人をよみがえらせて欲しい』でしたよね。ソールさん」」 「そのキザったらしい喋り方。忘れた事も無いよ」 ・・・・・・・・いや、「声の主」を取り出した。 その姿を確認して、顔を真っ赤にしながらそれを奪おうと足を踏み出すが、首筋に冷たいものを感じ、 「警告はいたしましたよね」 テンの後ろにさがっていたはずのつくねが、いつの間にやら男のすぐ後ろまで来て 「つくね、殺すのはダメだ。放してやってくれ」 「はい」 爪をどけると、男はがくんと膝を折った。 悔しそうに前髪をかきむしり、顔をこれ以上できないほどにゆがめた。 「・・・・・・ペテンの石、というのはどういう意味ですか?」 男の目線に合わせるようにしゃがみこむ。 「私は『彼』によって願いが叶った人の所を訪ねているのです。 しばらく俯いたままだったが、テンを歯を食いしばりながら睨みつけ 「語るも忌々しい笑い話さ」 |
おやまあ、気付かなかった方が良かったものを。
そうです。
こっそり裏話。
はい、そこのあなた、キノの旅っぽいは禁句ですよ?
(自爆)
これでも精一杯キノの旅にならないように頑張ったんですってば。
たとえば主人公の一人称とか、本来喋るべき存在で無いやつの口調とか、旅する人数とか、
つくねさんに銃を持たせなかったりとか、
数えればキリがないくらい。
でもテンのイメージは明らかにキノだし、つくねさんはパンタさんだし
(注:パンタさんとは N−GRAVITY というサイト内にある作品のキャラパンタグリュエルさんの事でゲス。
知らない人はスルーの方向で)
短編連作なあたりとか時間の流れが話によってばらばらだったりとかも明らかにキノの旅だし〜〜
パクリ。
まぁいいじゃないですか。
何気につづく(笑)